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高尾の森へようこそ
      「多様で豊かな森の復元」は私たちの目標です。
広葉樹の植樹、下草刈り、ツル切り、スギ、ヒノキ除間伐など
森づくりに取り組んでいます

カメラが捕えた植栽地の鳥類REPORT

             「カメラが捕えた植栽地の鳥類」解説

 高尾の森づくりの会では2001年にスギ、ヒノキ人工林の中に落葉広葉樹の植樹を行い、針広混交林
づくりを目指して14年になります。植樹をして5,6年も経つとうっ閉が始まり、10年も経つと立派
な落葉広葉樹林となります。そのころにはいくつかの樹種では開花、結実し、昆虫、野鳥、哺乳類など
の生物に餌資源やねぐらを提供できるようになります。また、落葉はミミズや昆虫を育て、これが哺乳
類や野鳥の餌となります。一般にスギ、ヒノキ人工林よりも落葉広葉樹林のほうが生物種が多いという
研究報告がありますが、われわれの森づくりの結果が本当にそうなっていくのかどうか調べてみようと
思い立ったのは2006年でした。

 野鳥の多くは美しい声で鳴きますが、声を聴いて存在を確かめることができます。この鳴き声で種を
判別することができます。小さい体で樹間を飛び回るので姿を見つけるのは困難ですが、レコーダーに
録音し種や個体密度を把握しようと、2006年から植栽地の定点で定期的にデータを採取しています。

 哺乳類も森林の恩恵を受ける生き物です。これらについては2012年より夜間撮影が可能な赤外線カ
メラを用いて調査を開始しました。森林の植生に応じてスギ・ヒノキ人工林 、自然林 、落葉広葉樹植栽地
3パターンに分けそれぞれの定点にカメラを設置し、現れた哺乳類を撮影しています。彼らは夜に行動
するものが多く、昼間の森しか知らない我々はこんな動物がいたのかと初めて判ったものが何種かいます。
これについては「高尾の森通信」で適宜報告しています。

 このカメラの前に、昼間野鳥が姿を現します。特に、冬期には木の実、草の実、昆虫などを採取する
ために地上に降りてくるものがいます。撮影時間がまだ薄暗い明け方であったり、小さくて動きが激し
いため種の特定が困難なものがいますが、判別できた動画をこのコーナーで紹介することにしました。
撮影時間は1コマ30秒ですが、登場がほんの数秒間だけというものもいます。またカメラには録音機
能が付いていますが、精度が低く鳴き声は聞こえません。今回22種を掲載し、今後新たに撮影された
ものを逐次追加していくことにします。
                             (2014年11月26日 白井作成)
                             (2015年2月1日 Rev.1)
                             (2016年4月1日 Rev.2)
                             (2016年4月13日 Rev.3)
                             (2017年2月15日 Rev.4)
                             (2019年1月25日 Rev.5)
                             (2019年3月22日 Rev.6)
                             (2022年2月22日 Rev.7)

下記の鳥の名前をクリックすると動画が見れます。ビデオファイル形式は.aviで各ファイルは最大30Mb程度です。

アオゲラ(2014.2.3 13:03撮影)30秒
 キツツキの一種で日本固有種です。広葉樹林や混交林に好んで生活する1年中いる鳥です。山を歩いていると「ピョーピョーピョー」とか「ケッケッケッ」「ケケケケケケ」という大きな鳴き声が聞こえてきます。また春先には「ドロロロロ」と木をたたくドラミングの音で存在がわかります。この映像は、いつもは樹木の幹をたたいて餌を探している鳥が、地上に現れたものです。

アオサギ(2018.12.31 15:22撮影)15秒
  日影バス停の前にある釣り堀の周りの樹木にサギ類が止まっているのを見かけますが、時々それらが小下沢を遡上して来るのでしょうか、一帯で見かけることがあります。この時期にもかかわらず小下沢で魚影が認められるようになってきたのであれば喜ばしいことです。

アオジ(2014.3.28 15:58撮影)30秒
  平地から山地の竹藪や灌木の茂みに生息し、昆虫や草の種子を食べて生活しています。冬鳥のため、ここでは「ツェッ」という地鳴きしか聞かれず、声で判別するのは難しい鳥です。アオジとはいえ黄色がかった鳥です。

アトリ(2017.4.7 9:34撮影)30秒
 冬鳥で冬~春期に見られます。ウソ、シメ、イカルなどと同様のアトリ科の種です。群れで行動し、夕暮れに残雪の中を大群で移動しているところに出くわすことがあります。植栽地で見られるようになってきました。

イカル(2013.12.27 14:35撮影)24秒
 冬季、落ち葉の積もった広葉樹の下で餌をあさっている群れを見かけることがあります。春から夏にかけて「キキョキョエイ」とゆっくりしたテンポで、大きく澄んだ声でさえずります。ここ小下沢フィールドにはたくさんいます。

ウグイス(2013.11.26 8:29撮影)26秒
 平地や山林の笹薮やブッシュに住んでいて、夏には美しいさえずりを聞かせてくれる日本の3大名鳥の一つです。地味な灰色がかった黄緑色の鳥で用心深いので姿を見かけることは稀です。普段ブッシュの枝から枝へ飛び跳ねている鳥ですが、この映像にみられるように地上をウォーキングすることもあるのだと判りました。繁殖場所がガビチョウと競合するため、ガビチョウの急速な進出とともにウグイスの数が減るのではないかと心配されましたが、小下沢フィールドではその心配はなさそうです。冬でも「ジャッジャッ」という地鳴きで冬越しをしていることがわかります。

ウソ(2014.1.1 14:39撮影)30秒
 高尾山では冬鳥です。雄はピンク色のえりまきをしているのですぐに判ります。春には桜のつぼみを食べているウソの群れを見かけます。特にソメイヨシノのつぼみを好んで食べるようです。口笛のような「フィロ フィロ フィーフィ」いう声でさえずります。夏には高山へ移動し、蓼科山でたくさん見かけたことがあります。

カケス(2013.9.30 6:26撮影)6秒
 「ジェー」という濁った声で鳴きます。換羽期に登山道にルリ色の混じった羽根が落ちていて、カケスのものであることがわかります。秋にドングリを木のすき間や土の中に隠し、冬場の食料にすることで知られています。

カシラダカ(2014.4.2 5:46撮影)30秒
  山林では灌木のある写真のような草地にいます。植栽地では樹木の成長とともにこのような場所が少なくなり、久しぶりに確認できました。頭頂には短い冠羽がありホオジロに似ていますが、腹が白く、地鳴きも「チッ」と一声なので区別できます。冬鳥なので間もなく北に旅立ちます。

ガビチョウ(2014.11.2 9:33撮影)24秒
 有名な外来種の一種です。古く江戸時代に中国南部からやってきた鳥ですが、野外で繁殖しだしたのはここ30年のことです。繁殖力が旺盛で、今や平地の林にも山林にも住んでいます。野太い大きな声で鳴くのでわかりやすい鳥です。われわれの植栽地では樹木の成長と共に草地が減ってきて、一時期に比べ数が減ってきたようです。

カワラヒワ 9秒
 農耕地や川原でよく見かけますが、こんなに山奥に来ているとは思いも掛けませんでした。この一帯には餌となる草の実がたくさんあるからでしょう。年によってマヒワの大群がヒノキの種子を食べに来ますが、写真の鳥のくちばしの肉色や風切羽の黄色はマヒワとは違うものです。

キジバト(2013.12.11 9:06撮影)30秒
 私たちの生活圏でもよく目にする鳥です。小下沢フィールドでは冬場の明るい林床で餌探しをしている群れを見かけます。

クロジ(2020.4.28 10:02撮影)20秒
 黒っぽい地味な鳥で、寒い時期に小下沢林道沿いのブッシュで群れでいるのをたまに見かけます。地上性の種なのでカメラの前に現れることを期待していたのですが、やっと姿を見せてくれました。留鳥ですが、夏季はもう少し高い山に移動するようです。

クロツグミ(2013.6.10 18:56撮影)16秒
 雄は頭から胸と上面が黒色、腹は白く、わき腹に斑点があります。夏になると南からやってくる渡り鳥です。特に朝夕に美しい声でさえずります。ミミズや昆虫を採るために地上にも降りてきます。数歩ホッピングして立ち止まって胸を張る動作はツグミ科の鳥であることがわかります。

コゲラ(2021.1.18 7*30撮影)30秒
 いつも樹上で樹皮のすき間にいるクモ類や昆虫をあさっている留鳥。小型のキツツキで、高木の上方でギーギーと鳴きコツコツと音を出すが見つけにくい。シジュウカラの群れに混じって行動しているのを見かけることがある。地上にいることは珍しく、アオゲラと違って地上カメラでは撮影できない鳥と思っていた。しかしここでも切り株をつついている。切り株の苔の中に餌があるのだろうか。

コジュケイ(2014.6.10 6:07撮影)30秒
 市街地から山地の林、草地、農耕地にいます。一帯に響き渡る大きな声で「チョットコイ チョットコイ」と鳴きます。やはり外来種で、中国 に分布する鳥を放鳥したものが増えたそうです。非繁殖期には群れで生活しており、小下沢フィールドには沢山います。

シジュウカラ(2014.1.18 10:47撮影)28秒
 市街地や住宅地の庭にもやってきます。繁殖力が旺盛で、最近ではスズメよりも多いかもしれません。植栽地ではヒヨドリとともにたくさんいます。早春「ツピツピツピ」とさえずる声を聴くと、春が来たと感じられます。繁殖期以外は群れで行動しており、このシジュウカラの群れにメジロ、ヤマガラ、コゲラなどが一緒に行動していることがあり、これを「カラの混群」といいます。

シメ(2016.2.21 9:04撮影)20秒
 カメラの前に現れた小下沢国有林で23番目の鳥です。冬鳥で、山地の林や樹林の多い公園にいます。動画はモミの巨樹の下で小さな群れが種子をついばんでいるところです。地鳴きの時期にしかいない鳥で観察するのが難しい鳥です。

シロハラ(2014.11.29 13:13撮影)
 平地の林や山林の樹木の下で落ち葉をかき分けミミズや昆虫を探している姿を見かけます。冬鳥で越冬中は1羽で生活しています。地鳴きで存在を知るのは難しい鳥です。

ダイサギ(2019.3.11 9:54撮影)20秒
 白サギ類の中では最も大きい鳥です。夏鳥ですが、夏になるとできる胸と腰の飾り羽はまだありません。夏に黒くなるくちばしもまだ黄色いままです。小下沢には餌を求めてやってきたのでしょうか。逆光にもかかわらず美しい姿です。

ツグミ(2014.7.22 18:27撮影)30秒
 夏になると北へ帰って行く渡り鳥で、ここで撮影された鳥は最後のものかもしれません。初冬に樹上で「キュキュ」と鳴く声で存在がわかります。越冬地である平地の林や草地、農耕地に行く途中に立ち寄ると思われます。

トラツグミ(2014.1.7 15:38撮影)19秒
 平地や山林にいる鳥で、夜明け前や日中でも薄暗い日に「ヒィーヒィー」と薄気味悪い声で鳴きます。小下沢フィールドには年中いるようです。ミミズや昆虫を食べるため地上で採餌します。

ハシブトガラス(2013.4.10 8:21撮影)17秒
 もともと山林の鳥ですが、街の中にもたくさんいてごみあさりをする嫌われ者です。こんな山の中で子育てをしているのには驚かされます。子供を育てるだけの餌があるということです。「カラスの教科書(松原始著)」によると、ハシブトガラスがこの時期にもう子育てをしているのはとても珍しいことのようです。

ヒヨドリ(2021.1.15 8:15撮影)30秒
  市街地でも高尾山でもよく見かける留鳥。繁殖期以外は群れで行動し、きつい声でお互いに鳴き交わすのですぐわかる。雑食性で花芽、花蜜、野菜の葉、木の実などの植物質の他昆虫や小型の両生類、爬虫類も食べる。樹上にいることが多くこれまで撮影されていなかった。

フクロウ(2019.1.1 20:05撮影)15秒
 高尾山では留鳥で、夜行性のため音声では確認していましたが、初めて映像でとらえることができました。生態系の上位で生活できるということは、餌となるネズミや両生類、爬虫類が多いということでしょうか。繁殖場所には樹洞などが必要で、高尾山一帯でのこのような古木の在り処も興味あるところです。

ホオジロ(2014.1.6 12:01撮影)30秒
 1年を通じて植栽地一帯で見かけます。繁殖期以外では群れで生活していて、植樹後間もない草原状の植栽地に多くいるようです。さえずりは聞きなしで「一筆啓上仕り候」と鳴くといわれていますが、そのように聞けるものは少ないようです。

ミソゴイ(2017.4.7 9:34撮影)20秒
 夏鳥です。小下沢の水量が豊かであったころには見られたといわれています。魚食性のため小下沢では餌が少なくなり、いなくなったと思われます。標高500mの地点に設置したカメラの前に現れました。歩く姿は狙いを定めた餌に近づくサギ科の鳥そのものです。

ムギマキ(2021.5.4 13:35撮影)5秒
 オスの背面は黒、喉から胸にかけてはオレンジ色。メスは背面が淡褐色で喉から胸にかけては淡い橙色。夏はシベリア、冬は東南アジアで過ごす旅鳥。カメラの前に現れたのはメスで渡りの途中に採餌に立ち寄ったと思われる。麦撒きの時期に現れるのでこの名前が付いたという。

ヤマガラ<(2014.1.17 14:13撮影)2秒
 平地の林や公園でも見かけます。ゆったりしたテンポで「ツツピーツツピー」と鳴くのでシジュウカラと区別されます。昔、縁日のおみくじ引きの鳥として活躍していたこともあり、人懐っこい鳥です。秋から冬にかけて木の実を樹皮のすき間や土中に隠し、越冬中の食物にする習性があります。

ヤマシギ(2013.11.12 5:55撮影)30秒
 小下沢フィールドにこの時期にこんな鳥がいるとは驚きでした。繁殖期だけしか鳴かないのでレコーダーで捉えるのは難しいようです。餌のミミズや昆虫を取りに降りてきたところを撮影することができました。

ヤマドリ(2014.4.1 16:36撮影)5秒
 山を歩いていると突然飛び立ち、驚かされることがあります。カメラの前にもしばしば登場します。春の繁殖期に「ドロロロロ」という声が聴かれますがこれは声ではなく、雄が縄張り宣言のために羽根を震わせる音です。雄は長い美しい尾羽が特徴的です。

ルリビタキ(2014.12.9 8:21撮影)30秒
 冬季に北から渡ってきて越冬します。「ヒッヒッヒッ」とジョウビタキによく似た声で鳴きます。雄は成鳥になるに従い頭から上面が美しいルリ色に変化します。写真の鳥は発色の始まった若雄と思われます。


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